胃がんの危険性を10倍にするピロリ菌

胃がんの危険性を10倍にするピロリ菌

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)の感染暦のある人は、感染暦のない人に比較して、胃がんになる危険性が10倍になることが厚生労働省研究班の大規模疫学調査でわかりました。

1990年〜1995年にかけて全国で40〜69歳の、男性1万5300人、女性約2万6700人に血液を提供してもらい、追跡調査をしたところ、2004年までに512人が胃がんを発症しました。

採血時にピロリ菌の陽性者は胃がん発症のリスクが、陰性者の5.1倍でしたが、さらに他の指標も併用して採血時までの感染暦の有無を比べると、感染暦のある人たちが胃がんになるリスクは、感染暦のあない人たちの10.2倍でした。

一方で、ピロリ菌感染暦があっても胃がんを発症するのはごく一部で、また抗生物質で除菌をしても胃がんを防げるかどうかは、はっきりしていないということです。

ピロリ菌と胃がんの関連性は以前から指摘されていました。



ピロリ菌とは
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)はヒトなどの胃に生息するらせん型の細菌である。ピロリ菌とも呼ばれることがある。1983年 オーストラリアのロビン・ウォレン(J. Robin Warren)とバリー・マーシャル(Barry J. Marshall)により発見された。
胃の内部は胃液に含まれる塩酸によって強酸性であるため、従来は細菌が生息できない環境だと考えられていたが、ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する。このとき生じたアンモニアで、局所的に胃酸を中和することによって胃へ定着(感染)している。この菌の発見により動物の胃に適応して生息する細菌が存在することが明らかにされた。

ヘリコバクター・ピロリの感染は、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のみならず、胃癌やMALTリンパ腫などの発生につながることが報告されている。細菌の中でヒト悪性腫瘍の原因となりうることが明らかになっている唯一の病原体である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

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