植物性の乳酸菌が強いパワーを持つ

乳酸菌とは、糖を発酵して乳酸をつくり、生じるわずかのエネルギーを使って生きる菌の総称のことをいいます。乳酸菌は、酸素を使ってエネルギーをつくりだすTCA回路は使いません。

生育には大量の糖を必要としますが、その他、アミノ酸、ビタミン類、ミネラル、さらに一部の乳酸菌などは、脂肪酸も必要とします。これらは人でいう5大栄養素、すなわち糖質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、脂質に相当し、人間の食料に乳酸菌が多く棲みつくのもうなずけます。

ただし、乳酸菌は酸素を必要としませんから、食品を堆積したり、つぼのなかに閉じ込めたりするなど、空気が届かない環境は乳酸菌の格好の生息場所になります。

動物性と植物性の乳酸菌はどのような違いがあるのかというと、分類学的な違いがあるわけではありません。

乳酸菌自体は、自然界にはいくらでもいる菌で、現在、240〜250種類くらい見つかっていますが、同じ種類でも棲みついている場所によってそのキャラクターはすべて違っています。

植物性乳酸菌では、トマトにつく乳酸菌とキャベツにつく乳酸菌は、分類学的には同じであってもトマトをおいしく発酵させる菌でキャベツをおいしく発酵させられるかというと、それは絶対にできません。キャベツにはキャベツに合う乳酸菌を選ばないといけません。植物ごとに固有の環境がありますから、その植物の数だけ多様性富んだ植物性乳酸菌が存在することになります。

乳酸菌を生息場所、適応環境から大別すると、動物性乳酸菌、植物性乳酸菌、腸内乳酸菌にわけられますが、だからといって植物性乳酸菌がミルクの中に生息できないかというとそういうことではありません。

これまでは、乳酸菌というとミルクに棲みついてヨーグルトやチーズなどの発酵乳食品を作る菌と思われがちでしたが、乳酸菌は、穀類、大豆、野菜など、植物にも生息し、日本の伝統的食文化である味噌や醤油、漬物などの発酵にも関係して、おいしい発酵食品を作り上げています。
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