直腸がんの発生と進行

直腸がんの発生頻度 直腸がんは、直腸にできた大腸がんのことになります。同様に大腸がんがS状結腸にできれば、S状結腸がんと呼びます。

S状結腸がんと直腸がんの発生頻度を合わせると、大腸がんの60〜65パーセントを占め、直腸がんだけでも40〜45パーセントと発生率が高いので、この部位にできる大腸がんは、特に注意が必要になります。

直腸は、便が停滞する場所なので、おのずから、がんの発生は多くなると予測されます。


がんの発生部位によって異なる治療法 手術が必要な人にとっては、直腸のどの部位にがんができたのかということが特に重要になります。

欧米では、直腸の腹膜翻転部まで二つにわけて、上部直腸、中部直腸といいます。この部位にがんができた場合は、骨盤腔の側方にあるリンパ節に転移することはないようです。

その場合は、求心性といって、中央の腹部大動脈に向かう血管の分岐部のリンパ節に転移をします。

なので、骨盤腔側方のリンパ節の郭清は必要なく、さらに腸管の軸にそって分布するリンパ節の状態を確認しながら、正常な腸管を切り取るかどうかを決定して手術をすれば、術後の再発のリスクはほとんどなくなります。

ただし、腫瘍が直腸を包む腹膜の外に顔をだして、膀胱や子宮の周囲臓器に直接浸潤している場合は、少し様相が異なり、病状に合わせた治療法が行われます。

しかし、リンパ節転移に関しては、大部分が治療がされ、がんで浸潤された臓器をどのように合併切除するかといった問題が残る程度といえます。

こうして、直腸がんがどの部位に発生したかという点が、術後の生活の質や、今後どのくらい生きられるかという予後を決定するうえで、大きくかかわっています。
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